第1章 コロとの出会い 2
時間が過ぎるのはあっという間。帰る時間になりました。連れて帰りたい気持ちでいっぱいでしたが、
すっかり成犬で 12キロ位ありそうなコロ。マンションで暮らしている私の家では飼えるはずがありません。
私以上に犬が好きな父がふざけてコロを車に乗せました。 私には一瞬コロの顔が輝いたような気がしました。
でも、小さいころに犬にかまれて以来、犬が大嫌いな母はもちろんそれを許しはしませんでした。
車から降ろされたコロは寂しそうな目をして私達を見守っていました。
私達が乗る車が走り出し、振り返るとコロが付いてきます。
一般道に出るまでの漁港の駐車場を、一生懸命に車を追いかけて走ってきます。
一般道に出たら他の車に跳ねられてしまう! とても心配でしたが、道の手前でコロは走るのをやめてしまいました。
寂しそうに車を遠い目で見つめた後、後を向いてとぼとぼと漁港の駐車場へと戻っていきました。
今でもそのときの姿を思い出すと涙があふれてきます。 とても寂しくて切ない後ろ姿でした。
犬を振り切って祖母の家に戻った私は、その姿が忘れられず胸がいっぱいになって食事ものどを通らず、
部屋の隅で落ち込んでいました。 何時間も何時間も泣きながら…。
夜10時近く、父がまだ落ち込みつづけている私に、"犬見に行くか?"の一言。
どうしても気になるので、母がお風呂に入っているのを見計らって昼間行った漁港を目指しました。
祖母の家から30分以上の距離です。漁港の駐車場に入ると、誰もいない駐車場の真ん中に輝く小さな光が二つ。
コロです。車のドアを開けると、昼間出会ったその犬が飛びついてきました。父はそのまま何も言わずにコロを車に乗せました。
嬉しい反面、怒る母の顔も浮かびます。 本当に連れて帰って飼えるのかしら?
そんな私の不安をかき消すような勢いで、父は黙って祖母の家へと引き返しました。
これがコロとの出会いです。
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