第2章 フィラリアとの戦い
祖母の家に到着すると、私たちが犬のところに行ったといとこ達から聞いた母が、玄関で仁王立ちして立っていました。
もう連れて帰ってくることがわかっていたのです。母を始め、親戚一同の非難を浴びながら、ドロドロのコロを洗い、
うるさい親戚から逃げるように祖母の家を後にしました。新潟からの茨城の親戚の家を経由しての帰り道の約7時間、
コロは安心しきったように助手席に座る私の足元で眠っていました。
さて、連れて帰りはしたものの、マンションの中でどうやって飼うか。
漁港での暮らしはどのくらいの長さだったのかは分かりませんが、一度のシャンプーではくさい臭いが取れません。
ノミやダニもいるかもしれないし、と言うことで、当面はベランダでの生活をしてもらいましょう。
それによく見るとお腹が大きいような気がします。もしやと赤ちゃんが??と思い、すぐに病院に連れて行き調べてもらいました。
コロを連れてきた経緯を先生に話すと、こんな成犬を遠くから連れてくるなんて…と驚いていました。
お腹が出ているのはちょっと太目なだけ…。ホッ、一安心。
でも、レントゲンには心臓から出ている無数の糸状の白いものがたくさん映っていました。
犬を飼ったことがない私たちに、先生は丁寧にその物体について説明してくれました。
フィラリア、名前だけは聞いたことがありました。蚊に刺されることにより、体内にフィラリアの卵が植え付けられ、
フィラリアが成虫になると心臓の中に住み着き、心臓の機能を破壊していく恐ろしい病気です。
漁港での暮らしが長かったのか、それとも以前に飼われていた時にも予防をしていなかったためかわかりませんが、
そのフィラリアはかなり悪化しているようです。 先生によると、このままでは残された命は半年…。
それではあまりにも可哀想なので、治療をすることになりました。治療方法は心臓に直接ヒ素を流し込み、
フィラリアを駆除する方法です。毒薬にもなるヒ素のため、とても危険な治療だそうです。
時には治療中に命を落とすこともあるとか。生活の環境が変わったばかりのコロは最初のうち体の調子が悪かったため、
万全の体調に戻ってから、その治療をすることになりました。
2〜3日の入院が必要でした。病院に連れて行くと、万一の場合に備えての誓約書にサインをしました。
コロは"何が起きるの?"というような顔をして診察室に入っていきました。連れ帰ってきてから、この入院まではほんの数週間です。
やはりベランダでは可哀想と夜だけは玄関へいれ、そしていつのまにかみんながいるリビングの隅っこが定位置となっていました。
もうすっかり家族でした。コロのいない最初の夜はみんな静かでした。翌日、病院へ経過の説明を聞きに行った時、
コロは数度に渡るヒ素注入をしたとは思えないほど元気でした。経過も良好。
そうしてあっという間に3日間が過ぎ、コロは元気に戻ってきました。数日後の検査では、
あれだけいた心臓のフィラリアは全て駆虫成功!みんなの祈りが通じました。 ホッ
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