第3章 コロとの生活の始まり始まり〜
コロは野良犬ではなく、迷い犬か捨てられた犬です。
既に色々なことを覚えていて、"座れ" "待て"は完璧。
おトイレも散歩に出たときのみで、家の中でのおもらしは最初だけでした。
散歩の時も引っ張ることもせず、ノーリードにしても人の左側に付いて歩きます。
病院の先生によると、おそらく年配の方に可愛がられていた犬ではないかとのこと。
しつけは完璧でした。とてもおとなしく、無駄吠えもなく、本当はペット禁止のマンションなのですが、
散歩のときに周りの人に会わない限り、犬を飼っていることはわからなかったでしょう。
こちらの気持ちを察して、入ってはいけない場所、いつも自分がいるべき場所をきちんとわきまえた犬でした。
今考えると、2度と捨てられないように、精一杯私たちに気を遣っていたのかもしれません。
ところで、犬が大嫌いな母です。だまって連れてくるし、連れてきたばかりの数日は、
家やベランダでのおもらしは自分がやらなければならないしで、怒りつづけていました。
あの当時、犬用のおトイレを用意するなんてことさえも知らなかったので、コロはちっとも悪くないのですが。
犬好きな私たちにはわからない、動物臭さ、毛だらけになるカーペット。
気に入らないことだらけだったようで、母がコロを見る目も険しいし、コロも控えめながら白目を向けていました。
半年ほどたったある日、私は友達の家にお泊り、父は仕事の打ち上げで遅くなり、弟もいない、母とコロだけの夜を初めて迎えました。
初めての母とのお散歩。 誰も帰ってこない玄関の方にずーと耳を向けていたそうです。
漁港での生活のときにひもじいこともあったのでしょう。コロは食べる時だけは野生のようで、
まず残すことはありませんでした。それなのにその夜は、出されたご飯に一口も口を付けずに眠ってしまったそうです。
誰も帰ってこないので、ハンガーストライキを起こしたんですね。朝になって父が帰ってきたとたんに、
そのままにしてあったご飯にかぶりついたそうです。このときはさすがに母も驚いたそうです。
でも、一番一緒にいる時間が長いのは母です。時間はかかりましたが、いつのまにか仲良くなり、
冬の間はホットカーペットの上で、二人(?)でくっついてお昼寝していたり…。
母曰く、犬は嫌いだけど、コロは別だったそうです。
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